社会

これは真っ当な報道

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070615k0000m070150000c.html 記事の趣旨はおおむね妥当なものと評価したい。コムスンを悪徳企業として断罪し業界から退出させても、それだけで介護サービスの質が著しく上がるとは思えない。ただし結論部分には…

まず自分ありきと思っていた

4月の下旬だったか、教育再生会議による「親学」についての提言が毎日の紙面でリークされた。報道を見ての僕の最初の印象は「つまんないことを言うなあ」というものだったけれど、一方で、いくつかのブログや掲示板での激しく反発する様子にもやはり面食ら…

続・コムスン雑感

週末から今朝にかけて、グッドウィル・グループの折口会長がいくつかのテレビ番組に出演していたようだ。自分も少し見たが、案の定コメンテーターは折口会長の経営者としての責任を問い詰めるばかりで、現在の介護市場がどのようになっているかなど構造的な…

コムスン雑感

介護報酬の水増し請求などは確かに不正であるし、悪徳企業には退出してもらって健全な企業の参入を促すのは当然ではある。一方で、365日24時間の介護サービス提供を目指したコムスンの方向性は有意義と言えるだろうし、実際に早朝や深夜の介護を必要としてい…

弁護士の職責

無期懲役判決だった1、2審では、弁護側は起訴事実を争わなかった。しかし、最高裁で弁論が開かれ判決見直しの可能性が高くなると、弁護側は「殺意はなかった」と主張を変更。最高裁は昨年6月、「量刑は不当」などとして2審判決を破棄、審理を同高裁に差…

終末期医療における家族と医師の関係

ちょっと前のニュースですが、以下のような事件がありました。 殺人容疑 医師を書類送検 和歌山県立医科大付属病院紀北(きほく)分院(和歌山県かつらぎ町)で、延命措置を中止する目的で80歳代の女性患者の人工呼吸器を外して死亡させたとして、県警が、…

医療業界は彼岸なのか

タイムリーなねたではないのだけど、僕の住む練馬区では4月から中学生以上の医療費の自己負担がタダになった。それまでの「小学生までタダ」も結構なインパクトだったけど、ついにそれが中学生まで行ったというわけだ。 自分の子供時代に病院に通った場面を…

見ている先が違うから

以下に3件引用します。 厚生労働省は2日、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など発達障害の疑いがある若者に対する本格的な就職支援に乗り出す方針を決めた。臨床心理士ら専門の「就職チューター」をハローワークの就職相談窓口に派遣し…

「無知は罪」というイデオロギー

つらつら考えているうちに話題としては終息してしまったようだが、雑駁に書いておく。「募金箱素通り人殺し」騒動を見ていて、因果関係の「因」の部分に「不作為」を持ってくるのに議論としてはいささか大雑把ではという印象を受けたのだが、そのあたりは論…

共同体と機能体

poohさんのブログエントリのコメント欄で面白いやりとりを見付けたので貼っておく。PCの調子が非常に悪いので、とりあえずコピペだけ。 堺屋太一は会社などの組織が衰退する時に「機能体が共同体化する」ということを指摘しています。つまり、本来「おい、お…

過失と故意のはざま

例えば僕がハントを趣味とするものであったとしましょう。ハントといってもガールハントのことではありませんよ。当方はそんなナウい趣味は持ち合わせておりませんので。狩猟のたぐいを意味するハントです。 で、猟銃で鳥や獣を撃とうとして、狙いを誤って人…

「地方って、もう終わっちゃったのかな」

2ヶ月ほど前、親戚への年始の挨拶を兼ねて某地方都市に小旅行に行った。新幹線停車駅から車で1時間ほど掛かるその街は、典型的な車社会という感じで、多くの家庭は自家用車で交通の用を足す。私鉄は無く、JRの在来線は1時間に2本。朝と夕方だけ3本になる。…

なぜ「実子」にこだわる?

高田延彦・向井亜紀夫妻の代理出産問題について、子供を夫妻の実子とする出生届は受け付けられないという最高裁の決定がおりた。代理出産についての自分の意見はすでに過去のエントリで書いているが、あらためて繰り返すなら次の2点に集約されるだろう。 母…

実習生は農村花嫁?

大阪府茨木市に住む池田八重子さん(仮名・40歳)は昨年7月中旬、関東・関西方面を中心に発行されているフリーペーパー「ぱど」に掲載された「農業体験実習生募集」の広告を見つけ、応募を思い立った。 募集していたのは北海道上川支庁管内にある人口50…

聞きかじりの履歴書の話

え、履歴書って別にワープロで作ってもいいの? 「ワープロ可」とかそういう指定が無い限り手書きで書くのが原則だと思ってた。なぜなら、よくある就活本には「見やすい履歴書の書き方(修正液は使っちゃダメとか)」が大抵書かれていたから。 でも考えてみ…

自己研修は労働時間に入るか?

「医師 自己研修 勤務時間」という検索ワードで当ダイアリに辿り着くお客さんが多いのですが、うちではそんなこと書いてませんよ(笑)。なので少し書いておくと、一般的には、自己研修が労働時間に見なされるとは限りません。医師の研修というと、PubMedで…

専門知への不信

383: 名無しさんの冒険 2007/03/13(Tue) 22:22 >>379 専門知が信頼されないのって、もっと単純なことなんじゃないの? そこらへんの 学部卒者に聞いてみれば分かるが、学部以上の文系高等教育(専門知)って大半の パンピーにはイヤな思い出でしかないのよ。…

ゆとり教育よりゆとり労働

モトケン先生のブログで、医師の労働環境に関するエントリが立てられている。やはり国循ICUの医師一斉退職は衝撃だったのだろう。国循といえば西日本唯一のナショナルセンターであり、ICUはそこの中枢の一つである。ICUの欠員を埋めるために別の科から医師を…

川崎協同病院筋弛緩剤事件

川崎協同病院(川崎市)に入院中の男性患者(当時58歳)が1998年11月、気管内チューブを抜かれ、筋弛緩(しかん)剤を投与されて死亡した事件で、殺人罪に問われた元主治医、須田セツ子被告(52)に対する控訴審判決が28日、東京高裁であった。 …

警察に利用された知的障害者

鹿児島県議選に絡む公職選挙法違反が問われた事件、いわゆる「踏み字事件」については先頃鹿児島地裁で全員無罪の判決が出たところですが、その立件過程で、どうやら知的障害者の自白が証拠として使われたらしいです。 元県議の中山信一被告(61)が、投票…

失言じゃなくて暴言

たぶん発言の全貌なんか出ないだろうから、書いてしまおう。 高知市の島崎利幸・自民党市議(72)が、22日夜に同市内で開いた後援会主催のパーティーで、「社民党党首の福島さんは、機械のさびきった、子どもの産めないおばさん連中を引き連れて、『(柳…

障害者の「つながり」といえば

20日付のエントリでも少し触れましたが、作業所や授産施設に通っている障害者というのは、賃金や訓練といった実利的なものばかりでなく、作業達成によるやりがいを感じたり、他の障害者や施設スタッフらとの触れ合いを通じて社会とのつながりを感じることを…

労働者としての障害者

労基署がきちんと仕事をしていることは本来喜ばしいことなんでしょうが、うーん、これはまたいらんとこ突っついたなあ。 神戸市内の知的障害者の作業所が、最低賃金法に違反しているなどとして、神戸東労働基準監督署は近く改善指導を行う方針を固めた。 作…

Your time is your money.

厚労相は事務職の一部の残業代をゼロにする「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度の意義を説明する際、「工場労働というか、ベルトコンベヤーの仕事、『もう労働時間だけが売り物です』というような、そういうところでなく働いている方々の現実に…

「行かせる側」のパフォーマンス

ときわ台駅の事故で宮本邦彦巡査部長が亡くなった件で、安倍首相が板橋署に弔問したことについて少し書いておく。故人の名を間違えたことは、面識の無い相手であったことを差し引いてもまあ失当だと思うが、弔問したことや「誇りに思う」と発言したことを揶…

k2lowさんへのお返事と、統治行為の中立性について

遅くなりましたが、当方のエントリにk2lowさんからトラックバック頂いているので、少しばかり書いてみます。 柳沢大臣の「健全」発言について - The best is yet to be.(当方) 「『お前は健全でない』と言われた」と思った人の思考の流れの続き。 - Let’s …

だから過労死は自己責任じゃないってば

「過労死は自己責任」というフレーズで検索してこられる方が多いようですが、以下のニュースのせいでしょうか。 過労死するのは本人の自己管理の問題――。労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会委員、奥谷禮子氏(人材派遣会社社長)の週刊誌インタ…

なんとなく少子化の話を

少子化の議論が盛んなようなので乗っかっておくが、実は少子化対策について政府が出来ることというのはあまり無いと思う。もともと子供を持ちたくないとか結婚もしたくないとか考えている人の価値観を変えさせることは非常に困難だからだ。「子供を持ちたい…

私を"先生"と呼ぶな。

先の返信エントリにまたもトラックバックをいただいたので、言及されたところを中心にお返事。 実際に教壇に立つ福耳先生としては、「ニュータイプ(福耳註:創造性のある人材のこと)でなければ通用しないぞ」という思いもあって歯痒さを感じておられるので…

コトダマのクニに火矢が降るのだ

つまり炎上、と。いや思い付いただけです。 問題になっているのは松江市で27日あった自民党県議の後援会の集会での発言。柳沢氏は、少子化問題にふれた際、「機械と言ってごめんなさいね」などの言葉を入れつつ、「15〜50歳の女性の数は決まっている。…