図書の会計処理

なんだか問題点がこんがらがっているような気がするので、整理のために書いておく。

「図書館が管理する本を図書という」。これは「図書」という言葉を大学の会計で使うときの定義。
この定義にしたがうと、研究室で管理する本は大学では図書とは言わないことになる。したがって、実質的に研究室などで管理する本は大学の備品ではないはず。


でも、今は、なんでもかんでも、本を図書として扱っていて、自動的に本を備品としている。
本の備品管理に膨大な人手がかかっている。
なぜ、こうなったのだろう。 
何とかならないのかと事務方に検討をお願いしている。
きまぐれ雑記 : 本の備品管理

まず、大学の研究室にある本のすべてが「研究室で管理する本」ではないことには注意が必要だ。どういうことかというと、配架場所が研究室になってはいても、実際はその予算は図書館から出ていたりするものがあるからだ。図書館の予算で購入した資料は当然に図書館が管理することになるが、資料によっては、専門性が高いとか強いリクエストを受けて購入したものであるなどの理由で、図書館ではなく特定の研究室、ラボ、あるいは学科共同の書庫などに配架することがある。ちょうど、派遣社員が派遣会社に「雇用」されたうえで様々な派遣先企業に「派遣」されていくように、図書も図書館で購入しながら各研究室に配架される場合があるのである。実務的には、図書館スタッフが定期的に研究室配架資料の所蔵確認をすることで「この資料は図書館の管理下にある」とみなすといった、アクロバティックな回避策をとっているんじゃないかと思う。
図書館の図書購入予算で購入された資料は、当然ながら図書原簿に記載され備品として扱うことになるので、管理にいささか手間がかかるのは仕方がないことではある。さらに言えば、図書の場合は他の備品とちがって減価償却をしないので、永久に大学なり研究機関なりの資産として管理し続けなければならない。(参考:「図書の会計処理について(報告)」について(通知))ゆえに、この管理コストを回避したいのであれば、研究者自身のポケットマネーで購入するとか、各研究室などに配分された研究費で消耗品として購入するということになろう。ポケットマネーで購入した本は要するに私物なのであるから、大学や大学図書館が管理するものではないし、消耗品として本を購入したのであれば、備品じゃないのだから手間はかなり軽減される。
なお、図書館の予算ではなく各研究室等の予算で本を購入するのであっても、「○○万円以上の価格の本を購入する場合は原則として備品として処理する」というような内部規定があるんじゃないかと推測されるので、全部の本を消耗品として扱うことはできないだろう。さらに言えば、図書館の予算で購入していない本は図書館のデータベースに載らず、したがって知らないうちに複数の部局で同一の本を購入していたりするケースが発生しうるので、実際のところは重複を避けるために「本は原則として図書館を通して購入すること」というような実務上のルールがあったりするんじゃなかろか。なので、やっぱり手間はかかる。あ、問題が解決してないや(笑)。
最後に余計なことを言っておくと、そういう手間のかかることを研究者自身にさせないために事務方がバックヤードで働くことになっているのに、どうも研究者というのは華々しいサービスばかりに気を取られて管理部門を軽んずる傾向があるので、たまには裏方の働きにも目を配って欲しいものだと、これはリンク先とは関係なく愚痴っておく。数百万点に達する図書館資料の一つ一つを管理するロジスティクス機能と、それら資料を研究教育リソースとして提供するサービス機能を兼備し続けるというのは、それはそれで結構なエネルギーと専門性が必要なのですよ。