内定取り消しの顛末

昨年後半に採用予定学生の内定を取り消して話題になった日本綜合地所が、ついに破綻したそうで。

日本綜合地所は93年の設立。主に首都圏で、ファミリー層を狙った「ヴェレーナ」シリーズマンションを分譲。団塊ジュニア世代のマンションブームに乗り、業績を拡大し、01年に東証2部、03年に東証1部上場。08年3月期の連結決算は売上高1189億円、純利益46億円を計上していた。
しかし、一昨年夏のサブプライムローン問題浮上後、拡大路線が裏目に出て、業績が急速に悪化。昨年10月以降は資金繰りが切迫するようになったという。今月3日には、09年3月期の連結業績が305億円の純損失に落ち込むと発表。最後は、今月上旬の建築代金支払いのめどが立たず、行き詰まった。
asahi.com(朝日新聞社):内定取り消しの日本綜合地所が破綻、負債1975億円 - ビジネス

なお内定を取り消された学生については、

マンション分譲などを手がける「日本綜合地所」(本社・東京都港区)が大学生53人の内定を取り消した問題で、学生3人が加入し交渉をしていた全国一般東京東部労組(岸本町雄委員長)は2日、同社と協定書を締結し問題が解決したことを明らかにした。
労組によると、協定書で会社側は「精神的負担を含め多大な迷惑をかけることとなり、誠に申し訳ない」と学生に改めて謝罪した。その上で、補償金100万円と解決金の支払いで合意した。補償金は当初42万円が提示されたが、交渉で100万円まで増額され、組合員以外の学生にも同額が支払われた。
日本綜合地所の広報担当者は「ほとんどの学生さんへの補償金支払いは終えた。ご迷惑をおかけしたので、業績回復に全力をあげたい」と話している。
労組によると、組合員の3人は内定が取り消された後、就職活動を再開、1人は新たな内定が取れたが、2人は就職先が決まらず、留年せざるを得ないという。須田光照書記次長は「内定取り消しや非正規労働者の解雇、雇い止めなど、弱い立場へのしわ寄せを許さず、企業の社会的責任を追及していく」と話している。
日本綜合地所:「内定切り」に補償金100万円で和解 − 毎日jp(毎日新聞)

同社は昨年11月、業績悪化を理由に、学生53人の内定を取り消した。学生3人は労組に入り、12月に会社側と団体交渉をした。補償金は当初の42万円から100万円に増額されたが交渉は決裂。その後も交渉が続いていた。
協定書は1月26日に結ばれ、同労組に支払われた解決金については組合費を除き、3人に分配したという。解決金の額は非公表としている。3人以外の学生らにも昨年12月、100万円の補償金の支払いが提示されており、同社によると全学生が受け入れを決めている。
asahi.com(朝日新聞社):内定取り消し、補償金+労組通じ解決金 日本綜合地所 - 社会

ということのようです。
昨年末のエントリでも書きましたが、潰れそうな会社に入っても将来は暗いし、入る前に潰れてしまっては学生が泣くことになるだけなので、やはり保険等による金銭的解決のスキームを整備しておくべきなんじゃないですかね。景気がよければ別の就職先を見つけることも容易でしょうが、景気がよくないからこそ騒ぎになってしまう。よくない状況を想定してリスクをヘッジしておくのは、ごくごく常識的なことですからね。