ひとつだけ日本のために出来ること

現在でこそ日本にもサッカー文化が浸透してきつつはあるものの、僕が幼少の頃はJリーグも発足しておらず、日本がW杯に出場するなんてことは夢みたいな話だった。現在のようにJのチームが多くのサポーターを集め、プレイヤーだけではなく観客として多くの人々がサッカーを楽しめるようになるまでに、川淵三郎会長が果たした貢献は非常に大きなものがある。だからこそ、今の川淵キャプテンが醜態をさらし、晩節を汚していることを、残念に思う。川淵キャプテン、あなたは辞めるべきだ。今のあなたは日本サッカー界に害をなしている。
トルシエ後の日本代表監督を選考するとき、協会の技術委員会は、欧州のコレクティブなサッカーを志向する、フランス系の指導者をリストアップしていたという。その際に川淵キャプテンは、「ジーコには聞いたのか」と、独断で持ってジーコを監督に推した。ジーコが目指すスタイルが技術委員会のリストにある監督達のスタイルと一致していたならともかく、ジーコが目指したのは戦術に縛られない自由なサッカーであり、技術委員会が志向していたスタイルとは相反していた。つまり、川淵キャプテンは独断によって日本代表のスタイルを返させたわけだ。
日本代表が結果を残していたならば、ここまで批判は激しくならなかった。しかし、ジーコ率いる代表は内容の薄いグダグダな試合を繰り返し、いくつかの重要な試合でだけ勝つことで帳尻を合わせ、批判をやり過ごしていた。それらの勝利も、内容の伴った試合は半分程度だったと思うけれど。そして、最も重要なドイツW杯の本番では、3試合で2敗1分という無残な結果で終わった。
自らの独断で監督を選んでおきながら、その監督の失敗に対して何の責任も取らない。これは協会のトップとしてふさわしい行動ではないだろう。せめて惨敗の責任を総括し、代表再建の策を示すなりしておけば、まだしも言い訳は出来ただろうに。
そして自分に浴びせられる批判には頬かむりしつつ、記者会見の席上で次の代表監督人事をリークした。これも大きな間違いだった。そんな姑息な手で、批判の矢から逃れようとは。組織のトップに立つ資格はない。
オシムを代表監督に選ぶと言うアイデア自体は良い。Jリーグを見るものならば誰でも、オシムの手腕が優れていることは認めているのだから。しかしオシムジェフ千葉の監督だ。任期途中でJリーグのチームの監督を引き抜こうとすること、しかもそれを先にマスコミにリークすることで既成事実を作り、世間を味方につけようとしたこと、いずれも日本サッカー界をリードするものとして、恥ずべきことである。
しかも代表監督就任会見の席上で、川淵キャプテンは「ジェフ千葉の関係者、特にサポーターの皆さんには心配や、あるいは納得のいかない面もあるかと思いますけれども、オシム監督を日本代表チームに送り出して本当に良かったと思える日が早く来ることは間違いないと思っています。」と述べている。何をバカなことを言っているのか。ジェフがどんな思いでオシムを送り出したと思っているのだ。
シーズン途中で監督が交代するということは、チームにとっては大きなギャンブルだ。好きこのんでそんな賭けをやるクラブはない。それでも06年シーズン終了後にオシムの円満退任という形で交渉していたところを、川淵キャプテンの姑息なリークによって、ジェフは譲歩を余儀なくされたのではないか。ジェフの気持ちを踏みにじるようなこの無神経さからだけでも、もはやモラルと判断力を失っているとしか思えない。一刻も早く退場すべきだ。
川淵キャプテンは日本サッカー界からの信頼を完全に失っている。その無責任な姿、醜い保身、姑息さ、どれを取っても日本サッカー協会会長の重職にふさわしくない失点を重ねた。これ以上、僕たちの日本代表を汚さないで欲しい。速やかに退いてください。それが日本サッカー界のために出来る、最大の貢献です。