アジアカップ予選・インド戦

インド 0 − 3 日本
得点:播戸2、中村
GK 23 川口能活
DF 14 三都主アレサンドロ
DF 31 駒野友一
DF 69 水本祐貴(46分 35 長谷部誠
MF 26 今野泰幸
MF 30 阿部祐樹
MF 53 中村憲剛
MF 55 鈴木啓太
MF 60 山岸智
FW 74 播戸竜二(71分 37 佐藤寿人
FW 36 巻誠一郎(67分 65 我那覇和樹

犬と照明のことはもういいだろう。ともすれば眠気を誘いそうな試合展開にあって、良い刺激になったことは確かですな。
なぜ眠気を誘うかと言うと、つまらないミスが多いから。アウェー長距離遠征とか芝の状態、あるいは過密日程というようなエクスキューズはあったにせよ、ガーナよりはるかに格下のはずのインドを相手にして、どうして圧倒できないのか。ジーコジャパンは7点も取ったのにな。ジーコ時代もグダグダな試合とかミスの多い展開というものはあったけれど、当時と今とではミスの性質が違うように思った。つまり、ジーコ・ジャパンだと個々人が良い発想や技術を発揮しようとしても共通のタスクが無いため連携部分のディテールが合わずにミスとなった。他方、オシム・ジャパンでは共通のタスクはあり連携を深めようとすれば良くなるのだろうが、例えば実況の風間八宏氏が述べていたように「止める・蹴る」という基本技術の面で未熟な部分があり、それゆえにコンビネーションが出来なかったのではないかと。
まあ状況や局面に左右されずスキルを発揮できるかどうかは個人の修練に頼らざるを得ないのだけれども、ジーコ・ジャパンがイメージを共有できていなかったのを個人のスキルによって補っていたのだとすれば、オシム・ジャパンでは少なくともイメージの共有は進みつつあるように見受けられるので、成熟するのは意外に早いかもしれない。
世界基準から見ると日本の技術は低くもないが一流ともいえないレベルで、またピッチ上にアウトプットされる技術レベルにはムラがあると僕は思っている。ではその課題をどう解決すべきかというと、選手個々人のスキルアップはもちろんだけど、一発の難しいプレーではなくシンプルなプレーをいくつか組み合わせることでチームとしてのパフォーマンスを高められるのではないか。オシムは盛んにリスクチャレンジを言っている印象があるが、一方で必ずしも単独で仕掛けることとかアーティスティックなプレイを推奨しているわけではない。複雑なプレーよりもミスの起こりにくいシンプルなプレーを奨め、またリスクチャレンジするにしても単独でDFラインを突破するのではなく、複数の選手のシンプルなプレーの組み合わせによって突破することを目指しているのではないかと思う。
シンプルなプレーというのはセーフティなプレーとは違う。安全策ばかりでは、個人の技術で圧倒できない強豪を相手にしては勝ち目が薄い。したがってどこかでリスクを犯さなくては格下以外には勝てない。けれどもリスクを犯すにしても上手な犯し方というのはあるはずで、シンプルなプレーの組み合わせによるリスクチャレンジは、実は見た目よりも低リスクなのではないか。海外組の必要性をオシムは決して否定してはいないが、それは国内組がローリスク・ハイパフォーマンスをある程度実現できるようになったところで、ロー・ハイを問わず多様なリスクチャレンジを実行しうる海外組を融合させることを狙っているのではないかと考えている。
インド戦から大幅に脱線した。良かった点としては、まず播戸。ゴールに向かう姿勢がはっきりしていて、いくつもの決定機に絡んだ。得点だけでなく、フリーランでボールの引き出しを促したり、前線からの守備にも献身的。これはレギュラー定着したかもね。そして中村。中盤から効果的にゲームメイクしたばかりでなく、ミドルシュートの意識も高くて、得点シーンの弾丸ミドルはまさにゴラッソ。2人ともJリーグで活躍していた選手だし、他のJの選手への刺激になるのでは。
それと鈴木。前半は中盤で献身的な守備を見せ、バランスをとるだけでなく前への飛び出しも見せた。水本が退場した後半からは3バックに入り、奇しくもボランチだらけのDFラインが実現したわけだが、その後の中盤の守備がイマイチだったところを見ると、影響力の大きさを感じる。アビスパは次節レッズとあたるから、蜂サポは啓太が寝坊とかで遅刻するようにみんなで祈るといいよw。
長谷部も良かった。中村とのバランスをとるのに苦労したみたいだけど、攻撃の起点になれるしランウィズザボールにセンスを感じる。激戦区だけど何とかうまい生かし方を見つけて欲しい。他には阿部と駒野もなかなか良かったのだけれど、チームではもっと存在感を発揮していると思うので、このレベルで満足せずにもっと期待したいな。
全体としてはいろいろ課題は見えたものの、さほど悪くはなかったように思う。あとは今後にどう繋げていくか。前代表と違って試合を多く組む方向ではないそうだし、この貴重な経験を生かしてもらいたい。
なお、ゲームの細かい展開や戦評についてはこちらがひじょうに参考になります。お奨め。