J2第38節・サガン鳥栖−アビスパ福岡

ダービーが激しいゲームになるのはありふれたことだが、こういう形で荒れてしまったのは残念…。

サガン鳥栖3−1アビスパ福岡
得点:清水康也(38分)金信泳(54分)藤田祥史(81分)布部陽功(89分)


GK 1神山竜一
DF20山形辰徳
DF 5長野聡
DF 2宮本亨
DF 8チェッコリ
MF 7宮崎光平(→山形恭平68分)
MF 6布部陽功
MF10久藤清一(→川島眞也77分)
MF16久永辰徳(→リンコン57分)
MF 3アレックス
FW35長谷川悠
http://www.jsgoal.jp/result/20070200030620070902_detail.html

ホームの鳥栖、アウェ−の福岡、ともにこれ以上は勝ち点を落とせない中で迎えた、今シーズン3回目の九州ダービー。試合前は非常に良い雰囲気。鳥栖サポーターの方の人前結婚式が鳥栖スタジアムで行われたのですが、鳥栖サポはあまり人数が集まっておらず、アウェーゴール裏をはじめとして福岡サポがかなり人数が入っていました。なので、福岡サポはガンガン拍手するし、アウェーゴール裏も思い切り唄っていた。新郎新婦のキスシーンで、博多の森ではおなじみの『love song』(CHAGE&ASKA)を大合唱。最後に「子供はアビスパ!」を連呼して結婚式終了。実に微笑ましい。
さて試合の方ですが、前半は一進一退だったという感じ。中盤では多少福岡の方が優勢だったものの決定機には至らず、逆に鳥栖は福岡の攻撃を抑えた後の速攻が非常に効果的で、危険なシーンを多く作っていました。その後の展開を簡単に書くと、前半の終盤と後半の早いうちに鳥栖が得点し、福岡側が前がかりになって薄くなった守備をカウンターで突いて鳥栖が3点目。ロスタイムに福岡が意地の1点を返すものの、そのまま終了といったところ。うん、簡単だ。
ではなぜあのようにゲームが荒れたか、思いつくところを順に。
1.前半の福岡のセットプレーからのゴールが取り消し
これはどうも笛の前にボールを蹴ったという判定のようで、選手やサポにはストレスでしょうが、よくあること。
2.鳥栖の1点目はハンドでは?
トラップ時に腕に当たったようには見えました。しかしサポから遠い方のエンドだったため、詳細は確認できず。選手はハンドをアピールしていたものの認められないため、サポは切り替えようという雰囲気。まあストレスはかなり溜まってたけど。参考:http://www.youtube.com/watch?v=kpPxjKFFbd0
3.鳥栖の2点目はオフサイドでは?
オフサイドでしょう。これが最も影響大かと。ただし単にオフサイドを見逃したということではなくて、現地の大型ビジョンで2度も得点シーンをリプレイしたのに、鍋島主審が頑なに大型ビジョンを見るのを拒んでいたことが、雰囲気を悪くしたんじゃないかと思います。誤審に目をそむけているように見えますからね。鳥栖サポでさえ「オフサイドだったなあ」と言ってましたし。もちろんビデオ見て判定を変えることはできないはずなので、選手やサポの心情として、ということです。鍋島主審は抗議している選手にきちんと説明すべきでした。参考:http://www.youtube.com/watch?v=MtWM93kTCjs
4.鳥栖の3点目の前にアレックスへのファウルがあったのでは?
アビスパが攻撃にかかっていたところ、アレが倒れたのを流され、そのまま鳥栖の攻撃で失点。これは正直微妙ですね。ファウルを取る主審もいれば取らない主審もいる、という範囲かと。前半の基準だったら、ファウルかな。参考:http://www.youtube.com/watch?v=QFpsKaw-6bs
5.長野はなぜイエローカード
競り合いの中でのヒジ打ちを取られたものだと思います。これは自分にはカード相当とは思えませんでした。鳥栖側の似た様なプレイはファウルを取られなかったこともあったし。サポ目線で見ると、普段はカードに異議を唱えることのない長野が相当なキレっぷりだったこともストレスの追加要素でしょうか。
6.リンコンはなぜレッドカード?
これも、競り合いの中で腕を広げたことが故意のヒジ打ちと判断されたということでしょう。現地で見ていた時はファウル取られるものとは思えなかったし、倒れた鳥栖の選手は確か足をおさえていたので、ヒジでレッドとはとても思えませんでしたが、映像が見つからなかったので何とも言えません。ドガッチもカットされていました。ただ直前の長野のイエロ−と合わせ、このあたりからスタジアムはレッドゾーンに。怒号に耳が慣れた。
7.布部はなぜイエローカード
布部のゴール後、布部と鳥栖GKがボールの取り合いになり、布部にイエロー。結論から言うとイエローは妥当。小競り合いを引き起こす原因になりかねないということで、たしか協会から通達が出ていたはず。で、鳥栖GKがボールを拾い上げた後、別の福岡の選手からボールを背中に隠すしぐさをしたんですよね。その後に布部が取り合いに絡んで、イエローカード。これはそのまま審判にアピールするのが正しい態度なんでしょうが、選手はヒートアップしていてそれどころではなかったのでしょう。鳥栖GKにはカード出なかったので、不公平なジャッジではないかというのがサポが怒っているポイント。
8.柳楽のレッドカード
ベンチの柳楽は相当不満を積もらせていて、たぶん布部のイエローでキレたんでしょう。このあたり情報が錯綜していてわからないところがありますが、おそらくピッチに侵入したということでのレッドかな。あるいは審判への暴言とか。柳楽は入れ替え戦の時にも、ゴール取り消し疑惑にキレてやらかしてるんで、処分はかなり重いと思います。数試合もしくは今シーズンいっぱいの出場停止でしょうか。
あとは伏線として、前半で山形辰徳がボールを頭に食らって倒れたのに審判が無視したとか、長谷川とあと誰かが肩でボールを受けたのを何度もハンド判定されたこととか。前後半でジャッジの基準が変わったように思えたことも一因かな。こうして書き出してみると、ダービー以前にレフェリングの問題というのが分かります。鳥栖側があえて悪質なプレーをしたということは特になく、審判の試合さばきにヒートアップしたというのが蜂サポとしての印象。鳥栖は全体としてきちんとタスクを遂行していたし、決して勝利に値しないチームではなかった。いい外国人選手が入ってきたらもっと上に行けるでしょう。
重ねて言いますが、ただでさえダービーは激しいゲームになりやすいのだから、審判団が選手ときちんとコミュニケーションをとり、試合がヒートアップすることを防ぐべきでした。特に試合の途中でファウルの基準にブレが出るのは致命的です。あれで選手もサポも審判に不信感を抱いてしまいましたから。
もう一つ。試合終了後に客席からペットボトルなど物の投げ込みが多数ありましたが、あれは本当に情けなかった。いくら不満があろうとも、それは抑えなければ。両クラブのみならず、鳥栖サポーターや一見の観客には本当に申し訳なかったと思う。特にショックだったのは、ゴール裏の一部のコアサポだけでなく、メインやバックスタンドからも投げ込みがあったこと。以前に比べてダーティーな雰囲気はかなり払拭されてきたように思いましたが、まだまだ改善されてはいませんでした。自分含め「物を投げるな!」と叫んでいる声は方々にありましたが、押しとどめられず。不満のぶつけ方を間違えている。誇りを忘れたクラブは決して繁栄することはありません。
大量に出場停止選手が出て、次節セレッソ戦のメンバー構成は危機的な状態です。出場選手を固定化していたリティ体制にあっては新戦力の台頭は難しいかもしれませんが、何とか気持ちを前に向けて行きたい。今日は疲れた…。
(追記)
書き忘れ。鳥栖戦の前々節の京都戦で、チェッコリは平島へのファウルでレッドカードを貰ったんですが、その試合のアフターゲームショーで、「主演男優賞もらってもいいかなぁっていうくらいの演技で、相手を退場させて、そこからは10対10で数的同位で自分達のサッカーができた」と平島が言ったそうで。この件があったので、選手やサポーターはなおさら審判への疑いの念があったんだと思います。なおこの試合のチェッコリは出色の出来でした。ミスもありましたが、ビハインド状態で攻めに出るときの戦局判断が非常に良かった。