J2第52節・サガン鳥栖戦など

今シーズンのホーム開催試合はほとんど行っているはずだが、秋以降はあまり戦評を書いていない。なぜなら試合が非常にみっともなかったからだ。今も書く気力はあまりないのだが、今シーズンも終わったことだし少し書いておきます。

アビスパ福岡1−3サガン鳥栖
得点者:レオナルド(12分) 金信泳(47分) 川島眞也(80分) 吉田恵(87分)
GK 1 神山竜一
DF17 川島眞也
DF13 柳楽智和
DF 5 長野聡
DF 2 宮本亨
MF11 田中佑昌
MF20 山形辰徳(→宇野沢祐次81分)
MF10 久藤清一
MF16 久永辰徳
FW 3 アレックス
FW19 林祐征(→長谷川悠71分)

試合内容は凡庸そのもの。前半14分にアレックスが一発レッド、前半35分に久永が2枚目のイエローを貰って退場となり、9人対11人の戦いとなった。いくら何でもこれでは勝負にならない。守備を鍛えていた昨年ならいざ知らず、今年は前のめりに攻めるだけの、戦術も何もないバラバラのチーム。1点とれたことが不思議なくらいだよ。
前日にはチームの半分に当たる15人の解雇が発表されていた。監督の戦術や手腕に選手たちですら戸惑っている中で、ほとんど粛清人事としか思えない大量解雇。いかにダービーとはいえ、これではチームがまとまるはずもない。解雇された15人についてはアビスパの公式サイトにまとまっている(参照)が、これには大きく異を唱えたい。特にDFの川島と柴村、MFの光平と恭平、FWの宇野澤については、間違いなく来年の戦力として確保しておきたい選手だ。恭平は選手会長としてチームをまとめてくれていたし、今シーズンは37試合に出場して3得点。あるいは光平も29試合に出場して4得点を挙げ、一時はセットプレー時のキッカーを務めた。川島も長身のCBとして、あるいはSB、時にはFWとしてもプレーしてくれた功労者。ウノにしてもシバにしても、リティの適当な選手起用に我慢しながら自分の特徴を出そうともがいており、そのポテンシャルを何とか発揮しようとしていた。大した出場機会も与えずに見切って解雇だなんて、いささか思いあがりではないか。長いJ2戦線で、少数精鋭で勝ち抜けるはずもないのに。安田・多久島の2人にしたって、ユース上がりをこんな若さで切るとはどういう了見だ?下部組織出身選手を大事にしなくて、どうしていい人材を集められるというのか。あまりに場あたりに過ぎる。
そして試合後のリティのコメントがまた笑わせる。

ただ、今日は非常にまずい形で朝が始まりました。山形、宮崎が今日の試合でプレーできないと言ってきたからです。怪我をしているわけではなく、難しい感情を抱えてしまってプレーできないということでした。私にとっては理解できないことでした。ゲームに臨むにあたって変更を加えなければならなくなりましたが、それは2人が試合に出られないということだったからです。
http://www.jsgoal.jp/news/00057000/00057963.html

おいおい、一日前に「来季は必要ない」と通告したばかりでしょ?何でその戦力外の2人に頼らなきゃいけないんだよ。林・川島の2人だってスタメンで使っているのに。そうやって選手に責任を押し付けるあなたのメンタリティが、選手から信頼されない原因ではないのですか?
試合終了後のセレモニー。都築興社長とリトバルスキー監督の挨拶時には激しいブーイング。観客もフロントと監督が低迷の原因なのを感じている。そして選手会長の恭平の挨拶では万雷の拍手。来年にいなくなる恭平が「来シーズンもアビスパをよろしくお願いします」と涙をこらえつつ話す場面では、思わずこちらも熱いものがこみ上げました。どうして選手がこんな悔しくて情けない思いをしなくちゃならないんだ。

今季7位と低迷した原因を、指揮官は就任前に決まっていた戦力にあるとしてきた。2年目の来季は、振るった大ナタが自らにも向けられる。都筑社長は「昇格を逃した場合、責任を取るくらいの決意を監督は持っているだろう。もちろん、私にも覚悟はある」と話した。福岡は経営と現場、両方のトップの進退をかけたシーズンを迎える。
http://kyusyu.nikkansports.com/soccer/jleague/avispa/p-ka-tp0-20071201-289841.html

開幕前、アビスパの戦力は決して低いものではなかったと今でも思っている。千代反田・水谷というレギュラー2人は失ったし、攻撃のキーマンとなるFWは不確定だったけれど、アレックス・誠史・ホベルトというJ2屈指の面子は残留していたし、久永・長野という主力級をレンタル先から戻すこともできた。戦い方によっては1年で復帰することも可能な戦力だったはずだ。リティ自身、就任時に「アビスパはチャンピオンにもなる可能性を持つ」と述べ、戦力に納得しての監督就任だったはずではないか。その戦力をろくに活用せず、誠史やホベルトを他の(J1の!)クラブに放出し、旧所属のオーストラリア・シドニーFCからも選手を呼びよせた。1年でJ1に戻るとの約束を守れなかったのは間違いなくリティに責任があるはずだ。
そのリティの責任を問わず、しかしなぜか強化部長は解任する。そして社長は経営面の責任を全く背負わない。こんなクラブ体制で、強いチームをどうやって作るというのか?選手に責任を押し付けただけではないのか?まして、恭平・光平など今回切られた選手の多くは、従来アビスパを支えた中村・松田・小林体制下で集められた選手たちだ。初めにも書いたけど、素人目にも粛清人事としか思えない。そういう不明朗な人事がまかりとおること自体が、アビスパ福岡というクラブを貶めていくんだよ。
今日、岐阜と熊本のJリーグ加盟が発表された。これで来シーズンは15チームで戦うことになる。今のうちに予想しておくが、監督が交代するかリティの采配が目覚ましく向上しない限り、1ケタ順位はあり得ない。また都築社長が現職にとどまる限り、アビスパというクラブが魅力あるものに生まれ変わることもないだろう。昨年、アビスパの降格が決まった時、僕は「我々は何も失ってはいない」と書いた。1年経った今になって、あらためて言わねばならない。「我々は失うべからざるものを失いつつある」と。