図書館離れ?

http://d.hatena.ne.jp/mique/20080204/1202162078
U.T.図書館喫茶は図書館離れ対策なのか? - かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)
そもそも図書館離れなる現象はどういう代物なんだろう?
上記のリンク2件の前段として、筑波大図書館にスターバックスが設置されるという話があり、その目的は図書館離れを防止するためであると毎日新聞で報道された(参考リンク)という経緯。さて、「図書館離れを防ぐためにスタバを誘致する」という理屈は、前提として「図書館における滞在型サービス機能が劣悪なために集客が不十分」という判断があり、そのサービスを向上させることで不満は解消され集客できるという理屈だと思う。
けれども、自分の学生時代を振り返ってみると、図書館が最も混雑するのは試験期間であり、長期休暇に入ると実に閑散としたものであった。自分はクイズ屋だったから長期休暇期間などは嬉々として朝から図書館にこもっていたけれど、当時同じように図書館を利用していたのは教員試験・公務員試験組が大半だった気がする*1。もちろん大学図書館なんだから通年では院生や大学教員も利用していたけれど、ユーザーのニーズは試験期間中の学習スペースという部分が大きくて、試験期の入館者数は通常の3倍じゃきかないくらいに多かったのに貸出冊数はそんなでもなかった、という話を当時スタッフから聞いた覚えがある。
スタバの話に戻ると、図書館の滞在型サービス機能を強化しても、それってアメニティの向上にそうつながらないんじゃないかと思うのだけど。電子化によって集客要因が減少したのなら、入館者数のピークが試験期だけより突出したグラフを描いているだけで、そこにスタバを持ってきたってユーザーの満足度向上につながるのか?だって図書館離れという言葉は、もともと図書館は集客に成功していたけれど、何らかの要因で集客がままならないようになり、それを防止しなければならないという価値判断によって出てきたわけでしょ?でもそれって本当に図書館が集客していたと理解していいの?単に学習スペースがないから仕方なく図書館に来てただけなんじゃないの?
雑駁な話をグダグダしているけれど、自分の考えとしては、図書館に来なくても用を足せるようになることは、ユーザーにしてみれば利便性の向上と言えると思う。で、資料参照機能については電子ジャーナルは各研究室等から見られるようになっていることが多く、ここは外部化が進んでいるわけだけど。前述のように利用者のニーズが学習スペースとしての図書館にあるという部分については、別に図書館がそれに応える必要はないんじゃなかろか。だって試験期だけ学習スペースが確保されれば利用者としては満足なわけで、それが図書館である必然性は弱いでしょ。所蔵資料が必要なら借りてきゃいいじゃない。何で図書館離れを防ぐ必要があるの?
まあ図書館の管理職の立場からすると、利用者数の低下って組織存続の弱点だと思う。普通に考えれば、利用されない組織や施設や設備は、縮小・改廃の槍玉に挙がるから。利用者は多ければ多いほどいいし、基本的に利用者=来館者で捉えてる人が多いでしょ。「来館者が減ってる代わりに、図書館が用意した機能の利用者は増えてるんですよ」ってな理屈をぶつけても、経営陣に納得してもらえるか微妙だよな。学内政治的には来館者を増やしておきたい。一方の大学経営陣としても、図書館ってのは機能がわかりやすいというかアピールしやすい施設で、地域住民への開放も進んでるから、メディアに取り上げられるネタは多く確保しておきたいところ。そういう意味では、図書館離れの防止策としてスターバックスを誘致するというストーリーはわかりやすい。
もちろん利用者としてもリフレッシュできる空間があるのはいいことなんだろうけど、自宅なり研究室でなら好き勝手に飲食できるんだから、そうプライオリティが高い部分とは思えない。もうちょっと根っこのところに突っ込むと、自分はそもそも図書館が快適な空間であることに優先順位を置いてなく、必要な資料が必要な時に参照できることの方がありがたい。だから図書館のサービスが滞在機能の充実に向かうのっていまいちメリットを感じないのだけど。世間のニーズは滞在時のアメニティ向上にあるのかな?実感わかないわ。

*1:あからさまに過去問を広げていたのでそのように判断した