おしることぜんざいのちがい

昨日のエントリで取り上げた、毎日の現代版蝸牛考みたいな記事ですが、はてなブックマークで大人気のようです。すでにブックマークが300を超えました。すごいですね。
ところで、同じ記事の中で、東西で呼び名が異なるものの例として「お汁粉とぜんざい」が挙げられていたんですが、これについて少し書いておきます。というのは、これは「同じ物を違う名前で呼ぶ」例であり、同時に「違うものを同じ名前で呼ぶ」例でもあるからです。
福岡で生まれ育った僕が「おしるこ」と聞いてイメージするのは、漉し餡で作った汁がサラサラの食べ物です。一方「ぜんざい」は、汁の中に小豆の粒が残った、粒餡の汁の食べ物です。各家庭では違うこともあるでしょうが、おおむね西日本では粒餡のものを「ぜんざい」と呼び、漉し餡サラサラを「おしるこ」と呼びます。
では東日本ではどうかというと、漉し餡のサラサラのものはただの「汁粉」、もしくは「御前汁粉」と呼び、粒餡の汁を「田舎汁粉」と呼んでいるようです。ちなみに東日本に「ぜんざい」は無いのかというと、実は「ぜんざい」もあります。それは、汁無しの粒餡に白玉団子などをあわせたもので、場合によっては「小倉」「小倉ぜんざい」とも呼ばれます。これは西日本で言うところの「亀山」にあたる食べ物です。簡単にまとめると、以下のように。

        関東    関西
漉餡汁あり: 御前汁粉 /おしるこ
粒餡汁あり: 田舎汁粉 /ぜんざい
粒餡汁無し:小倉ぜんざい/ 亀山

ちなみに、出雲地方で10月を「神在月」と呼ぶのはよく知られていますが、諸国の神々が出雲に集まったとき、小豆を煮てお餅を入れて祭事に供えるという習わしがありまして、この食べ物を「神在餅(じんざいもち)」と呼びます。この神在餅が「ぜんざい」の語源ではないかと言われています。なお、小倉/亀山については、小豆の名産地である丹波近辺の地名から取られたという説が有力です。まあ知っている人は別に驚くこともない情報でしょうが、僕も以前この手の地域ギャップで戸惑ったことがありましたので、知らなかった人はこれを機会にと思った次第。