虫歯治療中の死亡事故

虫歯治療中の4歳女児を死亡させたとして、業務上過失致死容疑で送検された埼玉県深谷市の男性歯科医が不起訴となったことについて、さいたま検察審査会が不起訴不当の議決をしていたことが分かった。
 議決書(4日付)などによると、02年6月15日、深谷市の会社員、木部寿雄さん(40)の長女遙加ちゃんは、同市の歯科医院で治療中、局所麻酔により重篤なアレルギー症状「アナフィラキシーショック」を起こし、同夜に死亡した。県警は05年1月、歯科医師書類送検したが、さいたま地検は同年7月、嫌疑不十分で不起訴とした。
 議決はショック症状について「予見可能」とした。また、「現在の開業医の歯科医の(設備、技術)水準では、救命可能性に疑問が残る」とした地検の不起訴理由について「同種の事件で刑事責任が問えなくなる。開業医と他の病院に差があること自体が問題」とした。【村上尊一】
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20061020k0000m040079000c.html

アナフィラキシーって予見できるのかな?昔聞いた話では非常に困難ってことだったけど。それはともかくとしても、「開業医と他の病院に差があるのが問題」ってのもすごい理屈だなあ。1次〜3次の病院の区分をまったく無視してる。一般の開業医が総合病院とか大学病院レベルの設備・スタッフを揃えなけりゃならんのか?ありえないでしょ。痛ましい事故ではあるが、刑事責任を問える事案なのかな。
ちなみに、裁判所のサイトにも書いてあるけど、検察審査会というのは一般市民で構成される機関で、検察官が起訴もしくは不起訴にした判断の是非を検討する役割がある。市民感覚を司法の場に取り入れることそのものは決して悪いことではないのだけれど、医療とか専門性の高い分野の事案だと、市民感覚に引きずられて不起訴相当のものまで起訴されてしまいかねない。一般人にとっては起訴されること自体が大変に負担になるんだけど、地検はどう判断するんだろう。