ナビスコカップ決勝

鹿島アントラーズ0−2ジェフ千葉
得点:水野 阿部

勝戦にふさわしい、面白いゲームだったと思う。個人的には両チームとも好きな選手が多くて、また勝ちたいと強く思うだけの動機が両チームにはあった。アントラーズはJリーグでも常に上位に位置し、誰もが強豪と認めるクラブだが、ここ数年タイトルには遠ざかっている。今シーズンは昨年の世界クラブ選手権で優勝したばかりのアウトゥオリを早速監督に据え、再建を目指したが、小笠原の移籍もあってか優勝戦線からは脱落してしまった。ここで勝って10冠を達成したいところ。一方のジェフも、前監督のイビチャ・オシムを代表監督に取られ、息子のアマルが引き継いだもののイマイチ結果が出ていない。さらにジェフ躍進の要であったGMの祖母井氏が辞任してフランスのグルノーブルでGMになるという噂が流れており、クラブ周辺が騒がしくなっていた。選手もサポーターもそれぞれに優勝への思いが強くあり、試合にもそれが表れた熱い展開になった。
ジェフの3-5-2(途中から3-4-2-1)とアントラーズの4-4-2のフォーメーションはどちらも見慣れた形。中盤の激しいプレスとギリギリでの体の張り方の激しさも、近年のナビスコ決勝と同様、好ゲームのお手本のようだった。途中まではまたもPK決着かと思ったが、ジェフが終盤に2点を奪い、昨年に続いてのナビスコ杯2連覇。水野の得点は左サイドの坂本からの長いパスを受けて、右サイドからのミドルシュート。その数分後に水野のコーナーキックから阿部が飛び込んでヘッドで追加点。水野の高い精度のキックとセットプレーに強さを発揮する阿部が噛み合った、いつものジェフらしいゴール。MVPには1ゴール1アシストの水野が選ばれたけど、個人的には阿部のほうが貢献していたように思う。カウンター時に長躯疾走したような攻撃場面もさることながら、中盤での激しいチェックや味方への指示など守備面での働きは素晴らしい。対する鹿島は、各選手のクオリティはあいかわらず高いし、プレーに気持ちもこもっていたと感じられるものの、どうにもディテールが噛み合わない。アウトゥオリは進退をかけて臨んでいたそうだけど、この敗戦では泣くに泣けないのでは。ファビオ・サントスのSB起用は奇策っぽいけど、あとは現実的なゲームを志向していたようだし。ジェフの走るスタイルに付き合わない鹿島も見たかったかな。
ジェフは両サイドがよく機能していたし、まあいつもどおりに戦って勝ったという印象。リーグ戦ではもたつきもあったけど、ここにきて充実したゲームを見せてくれた。連覇おめでとう。ぜひ来年も勝って、ナビスコマニアと呼ばれてくれ。