今日という日を忘れるな

試合が終わってもしばらくは動けなかった。最後のセレモニーが終わり、選手がスタジアムを一周してピッチから姿を消した後も、悲しみや悔しさやもどかしさがこみあげてきて、足がスタジアムから動かなかった。
今年のアビスパ福岡について、思うところはいくつもある。迷走するフロント、勘所を外した采配、一部の選手に見られる弛緩したプレー、審判のミスジャッジ、そして何より、選手が全力で戦えるようにサポートできなかった自分の不甲斐なさに腹が立つ。苦しみながら必死にもがいて、何とか入れ替え戦まではこぎつけたけど、最後の最後で勝ちを逃した。ある意味、今日のゲームが今シーズンを象徴していたように思う。
我々は敗れ、来シーズンをJ2で戦うことになる。決してサッカーが根付いたとはいえないこの土地で、トップディビジョンから脱落することは危機的状況を招くだろう。選手の移籍はもちろんのこと、経済的にも少なからぬダメージを負うことが予想される。だがそれは受け入れなければならない。降格とはそういうシビアなものなのだ。
だから、この日を忘れるな。これから味わうであろう艱難辛苦の、その原点は今日なのだ。安易に気持ちを切り替えたりするな。幾つもの感情がないまぜになった、その熱いものを腹の底におさめておけ。そういう気持ちを抱えてこれからのシーズンを戦い抜こう。苦しくなった時、きっとその気持ちが奮い立たせてくれるから。
どこで戦っていても、アビスパは確かにそこにある。自分の町に愛するクラブがあり、ともに戦うことのできる喜びを思えば、J2戦線も何するものぞ。恐れたり侮ったりすることはないのだ。ついこの間まで戦っていた舞台じゃないか。もう一度昇り詰めてやるだけさ。
我々は何も失ってはいない。