J2第16節・アビスパ福岡−サガン鳥栖

アビスパ福岡1−2サガン鳥栖
得点:宮本(33分)藤田(60分)高地(69分)
GK 1神山竜一
DF20山形辰徳
DF 2宮本亨
DF17川島眞也
DF16久永辰徳
MF11田中佑昌
MF 6布部陽功
MF10久藤清一(→長野聡85分)
MF18山形恭平(→林祐征79分)
MF 3アレックス
FW 9リンコン
http://www.jsgoal.jp/result/20070200030320070519_detail.html

今年2度目の九州ダービーは、前節と同じように前半で先制しながら、後半に立て続けに失点しての逆転負け。問題点も同じ。選手間で意識の統一ができていないのか、攻防の連携がちぐはぐで、間延びしてバイタルエリアが空きまくり。スペースに侵入され、振り回されて陣形が崩れてゴールを奪われる。組織力でも走力でも負けていて、こちらがやりたいゲームを相手に実践されてしまった。
特にCBの拙劣な守備は深刻。単純な縦のロングボールの競り合いに負け、裏へのスルーパスの対応も遅れている。一時期の堅守もメッキが剥がれたように脆くなっている。運動量の低下も以前とはまるで別物で、ボランチにせよSHにせよプレスがろくに機能せず、ただ相手がボールを回すのを追わせられている感じ。メンバーを固定してやってきたのは連携を高めるためのはずだったのに、ここにきてそれが層の薄さにつながっている。サブメンバーに流れを変えられる戦力が乏しく、相手の先手を取ることができない。特徴だったサイドアタックも、いまでは単に選手がサイドに流れがちなだけで、逆に人が滞留して中に飛び込む枚数がいなかったり。何を勘違いしているのか。サイドにスペースがあるからってみんなサイドに向かったら、中がスカスカになるのは当たり前。それでボールを奪われて楽に中央を突破されたら、そりゃバイタルを支配されるにきまっている。
とはいえ左サイドの久永の技巧的な突破や右サイドの佑昌のスピードはやはり通用していたし、トップ下のアレックスもスキルはたしかに武器になっている。ただしそれらの武器も活用法を間違えているから結果につながらない。アレを活かすならマークを引き付けるようSHやFWが相手の目に留まるように動くべきだし、佑昌もスピードに頼ってばかりでは相手を突き崩すにも限界がある。そこではじめて連携の意味が出てくるのであって、簡単に言うと個々の局面における状況判断がまずく、またゲーム全体の流れを読み取ってベターなプレイを選択することができないのが敗因。サイドの高い位置に侵入できても中に人がいなければクロスの意味なんかないし、だったらサイドのフォローと中に飛び込む人間が両方動かないと孤立するだけ。今回の試合でも攻守の切り替えの遅さとともにフォローの少なさが気になった。独力で局面打開できるケースなんか限られているんだから、ボールを貰える位置に接近するなりデコイランで相手マーカーを引き付けるなり動けよ、と歯噛みする場面がいくつかあった。
攻撃にしても防御にしても、アビスパのストロングポイントが失われたわけではない。ただその使い方が著しく拙劣なために機能停止状態になっているわけで、ここは早く立て直しを図らないとずるずると昇格レースからは落後してしまうだろう。ダービーという重要な一戦でそれが露呈したことを逆に好機と捉え、選手には奮起してほしい。1シーズンでのJ1復帰を見据え、これ以上勝ち点を落とすわけにはいかないのだ。
ところで、開場前にデットマール・クラマー氏がセレモニーをやっておいででした。散会前に記念撮影と握手する機会があったので、ミーハーのごとく握手してしまいましたよ。もう爺さんなのに手がゴッツイわ。写真はアビスパのマフラーをまとって挨拶するクラマー氏。