院内暴力

今朝の西日本新聞の一面は、医療専門職に対する院内暴力について。

院内暴力は、患者の権利意識の向上などを背景に、ここ数年、目立ってきているとされる。実態を把握するために、日本医師会は7月末、各都道府県医師会に過去10年の相談事例を初めて照会。これを受け、佐賀県医師会が8月初旬、公立・民間の病院や有床診療所など県内の689機関に調査文書を送付した。
調査結果の報告の中では「混乱状態の患者からけられた」「顔を殴られ、メガネを壊された」など身体的暴力のほか、「『治療ミスだ』と因縁をつけられ、金銭を要求された」という恐喝、窓ガラスを割られる器物損壊などの実態があったとされる。
また看護師が受けた被害で最多は「男性患者から尻を触られた」などのセクハラ行為。病院側に訴え出たケースが50件近くに上り、ストーカー行為の報告もあった。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20071013/20071013_001.shtml

ウェブには上がってないけれど、紙面には「複数の大学病院で警察OBを常勤雇用し、院内を巡回させている」という記事も。かつて校内暴力華やかなりし頃、中学や高校の卒業式に警官を呼ぶことが多く見られたそうだけど、医療機関でもひどい状況が生まれていることが、最近しばしば報道されている。
一方、以下は読売の記事。

13日午前、大阪市北区にあるNPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」の事務所で、医師や看護師ら医療者を対象にした電話相談「医療者のホンネと悩みホットライン」が始まった。
この相談窓口は、患者とのトラブルに関する悩みを聞くのが目的だ。昨年10月に3日間の電話相談を実施した際には、「入院の必要がないと説明すると、一方的に暴言を浴びせられた」「タオルを渡し忘れただけで、5日間なじられ続けた」といった相談が計26件寄せられた。
患者の相談に乗るなどの医療支援団体として設立されたCOMLに、医師や看護師からの電話が舞い込むようになったのは2000年ごろから。最近では、月平均で6〜7件の電話があり、相談者にアドバイスするだけでなく、相談内容をホームページや機関紙で患者たちにも伝えている。山口育子事務局長は「プライドや立場があって周囲に悩みを打ち明けられない医師の本音を、患者側に紹介することが必要だ」と話す。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071013i4w5.htm

サービス提供者と消費者がなぜか対立を起こして相互不信を生むっていう不毛な状況が、近年は医療に限らずいろいろな職種で見られるように思うけど、いくらシステムや制度を整えてサービスを向上させても、消費者側は「どのように向上したか」の中身のところは理解できないわけで、不信のまなざしを解消することはたぶん無理。「なぜこのようになるのか」「なぜ出来ないのか」を説明して納得してもらう方が、対話はスムーズになる。結局のところ、お互いが心情や内情を明らかにすることで状況を改善するというメソッドは、万能ではないにせよやはり効果的ということなんだろう。