積水ハウス事件

客の差別発言もパワハラも、それ自体は許すべきことではないですよ。それは間違いない。

目先の業績だけを考えれば、顧客からのハラスメントに対してはこれをじっと甘受することを従業員に求めるのが簡単です。しかし、顧客から一定の種類ないし程度のハラスメントを受けること(そして、そのことが顧客から受ける対価に含まれていること)が予定されている業務において従業員もそのことを承知した上でその業務に従事することを承諾した場合はともかくとして、通常は、顧客からのハラスメントが社会的な許容範囲を超えるものであった場合にそれを甘受することを強いることは許されないというべきでしょう(したがって、顧客からのハラスメントを甘受せず、当該顧客に対し裁判上または裁判外で対抗措置をとった従業員に対し、そのことを直接または間接の理由とする懲戒処分を下すことは、実際に営業収入の低下に繋がったとしても、許されないというべきでしょう。)。
顧客によるハラスメントと企業の対応: la_causette

全くそのとおり。「お客様は神様です。」なんて戯言を本気で信じている人も多いですが、お客様はお客様以外の何者でもありません。ビジネスから外れた内容の言動でハラスメントを行うことは、社会的悪徳でしょう。ましてや内容が差別発言では。

積水ハウスが建設したマンションのアフターサービスを担当する徐さんは昨年2月、排水口の修理を依頼した大阪のマンション所有者の自宅を同僚の日本人職員とともに訪問した。 韓国名が書かれた名刺を出すと、この顧客は「お前は朝鮮総連のスパイだろ。北朝鮮にいくら金を送っているんだ。おまえのような人間がいるから拉致問題が起こるんだ」と発言した。 さらに「積水ハウスという社名とこのハングル名を一緒に書くとは、(私に)けんかを売っているのか。これは挑戦状か」などと暴言を吐いた。

これに対し徐さんは「自分の国籍は韓国。なぜハングル名がいけないのか」と抗議したが、顧客は2時間にわたり「(ハングル名は)名刺に小さく書け」「北朝鮮と日本が戦争すればお前は敵だ。積水が誰を雇用しよと勝手だが、なぜ(韓国国籍者を)顧客の前に出すのか」などと差別発言を続けた。
差別受けた在日同胞職員に日本企業が訴訟費負担(中央日報)

揉めたお客のほうも、おそらくはもともと差別的な考えの持ち主だったんでしょうね。朝鮮総連のくだりとか、必要もないのに政治的な話を持ち出していますから。ただ僕が気になっているのは、積水ハウス社員が出したという名刺の件です。画像を見る限り、日本ですんなり受け入れられるしろものじゃあないですよね。ハングルはそこまで馴染み深いものでもないですし。外国で商売する場合、その国の言語文化に合わせて名乗ったり名刺を作るのがビジネスマナーだと僕は思います。その意味で、この社員の方にもトラブルの種があったことは理解しておくべきでしょう。

(追記)
見解の相違と言われればそれまでですが・・・、うーん、僕がビビり過ぎなのかなあ。僕ならあの名刺で営業に行きたくはないです。絶対どこかで客とトラブルになるもの。