教師の残業

文部科学省は24日、公立小中学校の教員を対象に行った勤務実態調査の結果を、中央教育審議会の作業部会で公表した。
教員一人の平日の勤務時間は平均10時間58分、平均残業時間は2時間8分だった。今回の調査は、政府が昨年に打ち出した公務員の人件費削減方針に伴って実施されたもの。中教審は今後、一般の公務員より高めに設定されている教員の給与水準が妥当かどうかの検討を進める。
教員の基本給は、優れた人材を確保する目的などから、一般の公務員より高めで、残業手当はないものの、基本給の4%にあたる金額が毎月「教職調整額」として一律に支給される。これらを合わせた給与は、大学卒の42歳平均で毎月約41万円で、一般公務員より約2・7%高い。
今回の調査は、全国延べ約5万人の教員の今年7〜12月の勤務実態を調べ、この日は7、8月分が暫定結果として公表された。
それによると、小学校では、平均勤務時間は10時間37分、平均残業時間は1時間47分。また、1日に45分設けられている休憩時間のうち、平均9分しか使っていなかった。残業とは別に、テストの採点など自宅での業務時間は53分だった。
中学校では平均勤務時間が11時間16分、平均残業時間は2時間26分、自宅の業務時間は27分だった。夏休み期間の8月は、小中学校とも平日に毎日平均8時間以上勤務していた。
個人別に見ると、平均残業時間が7時間42分(中学校)に及ぶ教員がいる一方で、ゼロの教員も2、3%いるなど、個人差が著しいこともわかった。
このため、この日の作業部会では、「教職調整額を一律に支払うのではなく、残業時間に応じて変えるべき」などの意見が出た。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061124it13.htm

一番生徒が少ないであろう7・8月で2時間8分の残業。ということは平常時はもっと残業しているということだろう。僕が教育実習に行ったときはだいたい7時半から19時半まで学校にいたけれど、当時の記憶と重ねてもまあそんなものだろうと思う。記事では「教職調整額」として基本給の4%が支給されると書いてあるけど、部活などで土日がつぶれることを考えたら、そんな程度では割に合わないだろう。部活の指導をするにはそれなりに勉強が必要で、時間も費用もかかるし。それでいて学力低下やらイジメやら学級崩壊やら対応しなくちゃならないんだから、教師は考えることが多くて大変だ。
教師の負担を減らす方法としては、一つには費やすリソースを増やすこと。教師には授業にだけ集中してもらって、部活はそれぞれに専門家に任せたり、体育系なら地域のスポーツクラブに委ねたりする。給食費その他の徴収金未納問題とかは、教師ではなく事務職員に任せてしまう。先月末に鹿児島県曽於市で、音楽教師なのに国語や家庭科の授業も任され、挙句にパワハラを訴える遺書を残して自殺した事件があった。パワハラ云々はわからないけど、無関係の科目を教えるなんて小規模校でもあるべきではないでしょう。増員して教師一人当たりの負担を軽くできればよかったんじゃないですかね。これは事務や部活と関係なく、とにかく授業における負担を軽くするという理屈ですが。
負担を減らすもう一つの方法としては、教育する側を増やすのではなくて教育を受ける子供のほうを減らすこと。もし40人学級が5クラスあったら1学年200人ということになりますが、これを7クラスにして30人学級にしたって問題はそう変わらないように思います。子供はクラスの枠を超えてツルむし、保護者だってメールや電話でネットワークを作るわけですから。教師が目を配るべき生徒・保護者の数が減るわけでなく、したがって負担もそう変わらないのではないかと。むしろ学校を分割して1学年100人にするほうが、負担減少にはダイレクトに効果があるんじゃないでしょうか。子供を減らすとはそういう意味で言っています。学校選択制を目指すなら選択の対象はある程度の数が必要なわけで、学校の分割という考え方はさほど荒唐無稽ではないようにも思います。小規模校だと野球部やサッカー部でチームを組める人数が集まらないという問題もありますが、それはまた別の話。
冒頭のニュースに戻りますが、本来なら残業が恒常的にあるなんていうのは異常な事態のはず。世間の目線や待遇を考えると教師はもはや聖職ではなく一般の労働者と同じであるように思うのですが、それなら善意につけこんで超過勤務を強いるような情けないことはやめて、気前よく給与を払うべきでしょう。医師バッシング、官僚バッシングと同じ轍を踏まないことを、祈っておきます。