人はボンクラが9割

福耳先生のやる気が希少資源というエントリにブックマークコメントをつけたら、丁寧かつ濃密な返信のエントリを書いて頂いたので、少し御返事をば。
福耳先生も書いておられるように、クリエイティブな人材、抜きん出てやる気を持った人というのは希少なわけで、だからこそ、そうでない人材でも戦力に仕立て上げられるような訓練能力を現場は持たざるを得ないのではないでしょうか。産業が高度化するにつれて保有する設備や企業内の体制はどんどん改善されるでしょうけど、人材のイノベーションはのんびりしたもので、ニュータイプはそうそう現れません。司令官としては、希少なニュータイプに頼った戦略は不安が大きく、大多数のオールドタイプを主戦力とした戦略を構築するのが判断としては妥当でしょう。ご提示のブックマークコメントは、そういう思考を念頭において付けたものです。
実際に教壇に立つ福耳先生としては、「ニュータイプでなければ通用しないぞ」という思いもあって歯痒さを感じておられるのでしょうが、創造性を持った人材がホイホイ現れたら希少価値も薄れてしまうわけですし、毎年1人出れば御の字と思って、肩の力を抜かれても良いのではないでしょうか。という助言はとうの昔に受けておりますか(笑)。でもフラナガン機関だって幾つもの失敗例を生みましたよ。
「やる気をかきたてるのが教員の仕事」とツッコまれて不愉快になるのは、むろんそうでしょう。やる気が希少資源であるならば、それを増大させるチャンスを失って歯噛みするのは学生の側であり、別に福耳先生が困るわけではありませんからね。とはいえ、「目的合理性がない作業に対して自分の価値観が逆らう」という福耳先生であれば、おざなりな講義を行うことは自分で自分の価値観を裏切ることでもあり、難儀なところではありますな。まあ「やる気の種」は高等教育以前のものとして、成育環境において植えつけられていなければどうしようもないところもありますし、影響を与えるにしても限界があるでしょう。
一読者として思うのは、福耳先生の文章は今の自分には「響く」んですよね。それこそハンマーのようにガツンと。学生諸君をやる気にさせる方策はちょっと難しいですが、僕のモチベーションの涵養には非常に役立っております。あまり慰めにはならないかもしれませんが、若造の戯言として、ひとつ感謝の意を。