だから過労死は自己責任じゃないってば

「過労死は自己責任」というフレーズで検索してこられる方が多いようですが、以下のニュースのせいでしょうか。

 過労死するのは本人の自己管理の問題――。労働政策審議会厚生労働相の諮問機関)の分科会委員、奥谷禮子氏(人材派遣会社社長)の週刊誌インタビューなどでの発言をめぐって、7日の衆院予算委員会論議があった。民主党川内博史議員が「あまりの暴言だ」と指摘。柳沢厚労相も「まったく私どもの考え方ではない」と防戦に追われた。
http://www.asahi.com/politics/update/0207/009.html

もちろん過労死は自己責任ではありません。過去に当ダイアリーでも述べました。
過労死は自己責任にはならない - The best is yet to be.
そもそも裁量労働制労働者にせよ管理職にせよ、どんなに働いても本人の自由で会社の関知するところではないのだったら、会社に雇用されて働く意味が無いじゃないですか。それじゃ個々の案件ごとに契約を結ぶ自営業者と一緒です。会社で雇っている以上、働き方のスタイルとは別個に、労働者に対する安全配慮義務は残りますよ。これまでの労働政策と司法判断の積み重ねが、結局は使用者を縛るのです。
とはいえ遵法意識に欠ける企業や使用者が存在するのも確かなわけで、その場合は転職するなり労働法を楯に会社と争うなり労基署にチクるなりして自衛を図るのがよろしいでしょう。構築された制度の趣旨とは異なる運用がされているわけですからね。
それにしても、労働政策審議会のメンバーに奥谷氏を入れたのはやはり間違いだったのではないかなあ。経団連ホワエグ年収要件400万円の際にも思ったことですが、実態と合わないアイデアや情報がメディアを通じて漏れると大反発が起きてしまって、専門家のまともな議論をノイズでかき消してしまいますよ。